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2017.9.14(木) イベントレポート
【イベントレポート】17年6月27日『これから働きたいママのためのプレおしごと講座』~ものづくりコース 革小物作家編~

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アクセサリー作家編に続いて、第2回が開催された「ものづくりコース」。今回は、革小物作家の坂本麻衣さんにご登壇いただきました。

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坂本さんは、お子さんが小さいころから長く革小物のお仕事を続けています。開業のきっかけからワークスタイルまで、講座で伺った内容をレポートにしてご紹介しましょう。

【目次】

<お仕事を始めるきっかけ>


<イベントへの出店>


<事業展開・ワークショップの開始>


<家族の理解>


<工房オープン>


<ビジネスを軌道に乗せるまで>


<坂本さんのワークスタイル>


<働く上で大切にしていること>







<お仕事を始めるきっかけ>

 

―坂本さんは元々ブーケ制作のお仕事をされていたそうです。革小物作家になったきっかけは何だったのでしょうか?

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坂本:長女を出産してからもホテルでのブーケ制作の仕事を続けたのですが、待機児童数が多く認可園に入れませんでした。認可外保育園を利用したのですが、仕事が不規則なので、長時間預けることになります。時間外の保育料がかさんでしまい、疲労感なども含めて考えると収支の釣り合いがとれないように感じていたんです。

 

最終的には幼稚園に入園して預かり保育を利用しながら働いていましたが、次女の妊娠をきっかけに退職しました。

 

革小物作りを始めたきっかけは、習い事でした。ワーキングマザー時代にウクレレを習っていたのですが、たまたまその先生が革小物の先生でもあったんです。偶然出会ったような感じです。

 

―最初は趣味として始めたんですね。仕事になったきっかけは何だったのでしょうか?

 

坂本:退職後、しばらくは専業主婦生活をしていましたが、子どもが少し成長してからは飲食店のパートを始めました。週3日、夫が帰宅後の22時ごろ~深夜3時ごろの時間帯です。次女が入園してからは日中のパートに移行しました。

 

その間も革小物作りを趣味として続けていたのですが、自宅で展示販売をすることになりました。といっても、かしこまったものではなく、子ども会の役員仲間に「作ってくれる?」と頼まれたので、いっぺんに作って並べて、選んでもらおうと思ったんです。

 

3人の友人に対して、色違いの4つのバッグを用意しました。それまでも、材料費だけをもらって作ることはありましたが、お金をいただいて販売するのは初めて。「自分が作ったものに商品価値があるんだ」と思えてうれしかったです。

 

<イベントへの出店>

 

―その後、イベントにも出店して作品を販売されるようになったのですね?

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坂本:当時は今ほど茅ヶ崎界隈でハンドメイド関連のイベントをやっていなかったので、横浜エリアの小さなイベントに参加しました。ただ、「仕事」という認識はまだありませんでしたね。趣味の延長というイメージでした。

 

革小物は売れなくてもすぐに劣化するわけではありませんから、「その場を楽しめればいい」という気軽な気持ちで参加しました。5万円相当程度の商品をもっていきましたが、実際に売れたのは1~2万円分程度だったと思います。

 

出店することでハンドメイド仲間ができましたし、イベント運営の仕方(売り上げ管理、納品の仕方等)を知れて勉強になりました。

 

―イベントの選び方や作品制作など、出店までの流れを教えてください。

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坂本:最近はたくさんのイベントがありますが、自分の作品の雰囲気、大事にしたいテイスト感と合うイベントを選ぶといいと思います。

 

例えば、私の場合は革小物ですが、あまり海沿いのイベントでは売れるイメージがありません。もっと海らしいイメージのもののほうが売れるようです。革小物は、都内や横浜エリアのほうが動くように思います。

 

また、出店開始当初は入園前の子どもがいましたので、子どもに危険がないか、日差しを遮る場所があるか等のポイントも重要でした。カミイチ(小田原のかみふなかクラフト市)などは日陰も多く、子どもに優しい環境だと思いました。

 

出店料については、駐車場代はどれくらいかかるのか、売り上げの一部を支払うのか、なども含めて検討したほうがいいと思います。夏は海沿いの駐車場料金が上限なしになるケースもあるので、下調べしておいたほうがいいでしょう。

 

ちなみに、出店募集していないイベントでも、自分からメール等でアプローチして、出店させていただけたこともあります。すぐにお返事がこないこともありますが、ダメ元でアプローチしてみてもいいのではないでしょうか。

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坂本:商品については、季節感を考慮することが重要です。

母の日前に開催するイベントなら、価格バリエーションを多めにして女性がもらってうれしいものを。父の日だと男性が喜びそうなパスケース・コインケースなどの小物を多めにするなど、お客様の目的を意識するといいと思います。

 

革の色についても、夏前には秋色(茶色・キャメル等)はあまり動かず、冬が終わると白・黄色・水色などがよく動くようになります。

 

また、ディスプレイにこだわりはじめると、立体展示をするためにさまざまな小物を遣うようになりますが、風に吹かれて倒れない工夫も重要です。

 

お釣りや包装のための準備、キャンプ用のキャリーワゴンなどもあるといいでしょう。

革小物は雨に濡れるとシミになってしまうため、雨から保護するための包装にも気を遣います。

 

<事業展開・ワークショップの開始>

 

―2011年からはワークショップを始めていますが、経緯を教えてください。

 

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坂本:当時、自宅リビングでの作品販売を友人同士でやっており、売り上げもありました。でも、自宅だと知り合いに限定しなくてはいけないですし、だんだん限界を感じるようになったんです。

 

無料の場所を借りられないか探したところ、営利目的の作品販売はNGで、「作り方を教える教室であればOK」ということでした。それがきっかけになって、ワークショップを開催するようになったという経緯です。

 

―開催までの流れについて教えてください。

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坂本:大きく分けると上記の4ステップです。

 

プログラムについては、最初は難易度の高いものを教える自信がなかったため、ブレスレット作りに限定しました。

 

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坂本:はじめは建築会社さんの広告宣伝の一環としてのワークショップだったので、無料で広告に載せていただき、集客できました。

 

その後、自宅やレンタルスペース、生徒さんのお宅への出張といった形態でワークショップを開催するようになりました。幼稚園のママさんなどが口コミで人を集めてくださり、マンションの集会室などをとっていただいて開催することも。

 

私自身が営利目的で無料のスペースを借りることはできませんが、ママサークルの活動の一環として、お呼ばれするかたちで行くのであれば、OKなんです。

 

自分でレンタルスペースを借りる場合は、「1時間500円まで」とコストの上限を設定して探していました。

 

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坂本:革小物作りには道具も必要ですが、始めのうちは順番に使っていただくようにして、収益が出たらだんだん道具を買い足していきました。

 

<家族の理解>

 

―仕事をするにあたって、ご家族の協力もあったのでしょうか?

 

坂本:夫に趣味ではなく「仕事」と認識してもらうまでにはかなり時間がかかりました。

 

でも、パートに出る時間がなくなってしまうくらいワークショップのお仕事をいただくようになると、収入面も含めて「仕事をしている」という認識をしてもらえるようになってきました。少しずつ、時間をかけてですが、理解してもらえるようになっていったのかと思います。

 

子どもたちはパート、家事、革小物をやってきている私の姿をいつも見ていることもあって、ずっと応援してくれていました。

 

<工房オープン>

 

― 昨年、2016年には工房をオープンされましたね。

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坂本:自宅リビングを制作スペースやワークショップスペースにしていたのですが、革小物関連の道具、材料は多いですし、カットする際にホコリも出ます。家族に負担を強いますし、自宅だと住所の公開もできません。「良い物件があれば…」とずっと思っていたんです。

 

信用問題もあって、なかなか貸していただける物件に出会うのは難しいものです。私の場合はありがたいことにたまたま良い出会いがあったので、工房オープンに踏み切りました。

 

家賃を払い続けることに対してのプレッシャーも大きかったですが、実際にオープンしてみたら、想像以上にプラスのことが多かったです。

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<ビジネスを軌道に乗せるまで>

 

―ここからは、坂本さんがどのように事業を軌道に乗せてきたのか、マーケティングの“4P”に沿って整理していきたいと思います。

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【Place(販路)】

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―坂本さんの場合、「作ったものを売る」という事業と、「作り方を教える」という事業を組み合わせていて、それぞれ複数の販路をお持ちです。

 

ものづくりコース第1回(イベントレポートはこちら)では、Michiさんから、卸売りやネットショップのお話もありました。それぞれの特徴を知って組み合わせることが大事です。

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【Product(商品)】

―次に商品についてです。教室では、今は生徒さんの作りたいものを作ってもらう方式にしているそうですね?

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坂本:いくつか予算を設定して、当日に生徒さん自身に選んでいただいています。私自身そうですが、そのときどきで作りたいもの、予算は異なりますよね。教えるほうの難易度は高まりますが、そのほうが生徒さんも参加しやすいと思いました。。

 

―季節感に合わせた作品を用意するというお話もありましたが、お客様や生徒さんのニーズを理解して、作品作りをしたり、プログラムを設計したりすることが大事なのですね。

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【Price(価格)】

―価格設定はどのようにしていますか?

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坂本:革は高価で材料費がかかるので、価格設定が「安い」と驚かれることもありますが、主婦の方にも手が届くような設定にしたいと思っています。その分、複数の事業を組み合わせる、安い仕入れ先を探してまとめて購入するなどの工夫をしています。

 

―価格設定にはさまざまな方法がありますが、坂本さんの場合はカスタマー視点に立った値付けをされているんですね。

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【Promotion(販促)】

―販売促進活動については、口コミの割合が高いと伺っています。リピーターを増やすポイントは何でしょうか?

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坂本:革小物は人目に触れる機会が多く、バッグやコインケースなどを持っていると「それどうしたの?」と話題に上るケースも多いようです。そのため、口コミで広がりやすいのかもしれません。また、一度作ると、「ほかの物を作ってみたい」という気持ちになっていただけるようです。

 

―革小物作りには特別な道具が必要なので、生徒さんが自分だけで作るのはハードルが高いという面もあるかもしれません。

 

Michiさんからは飛び込み営業をするという開拓法のお話もありましたね。その他、販売の際のディスプレイの工夫、SNSを使っての発信などもしていくといいようです。

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<坂本さんのワークスタイル>

―ワークスタイルについても伺っていきたいと思います。お子さんがもう大きいということもあり、お仕事中心の生活ですね。

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坂本:工房をオープンしていないときは、次女が帰宅する15時ごろには家にいて、子どもと一緒に過ごしながら仕事をしていたんです。

最近は基本的には毎日お教室を開いていて、帰宅は次女が習い事から帰る19時ごろのことが多いですね。最近はもう子どもが寂しがることもなくなってきました。

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坂本:ただ、今後次女が中学校に入学し、長女の受験が終わると子どもたちと一緒の時間はあまりとれないと思います。工房オープン前後の忙しさも少し落ち着いてきたので、生徒さんにご迷惑をおかけしない範囲で、少し家庭にも重きを置いた生活にシフトしたいと思っているところです。

 

<働く上で大切にしていること>

―働く上で大切にしていることを教えてください。

 

坂本:少し前までは、家族みんなでおいしいものを食べたり、楽しい時間を過ごしたりするために働いているという気持ちが強かったですね。それに加えて最近は、「子どもの選択肢を狭めたくない」「教育費を貯めて行きたい学校に行かせてあげたい」という気持ちが強まりました。

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坂本:家族がそろうタイミングも、子どもの成長とともに減ってきます。残り少ない時間を大事にしながら、過ごしていきたいです。

 

―最後に一言お願いします。

 

坂本:お子さんが小さいうちは大変なことも多いですね。でも、足元にまとわりついて邪魔されながらの料理なども、子どもが大きくなった今となっては幸せな時間だったと思うんです。小さい子を抱えながら働くのは大変ですが、輝かしい時期でもあると思います。

 

最近は、忙しいなかでも少し気持ちの面では余裕が持てるようになってきました。だんだん全体がうまくまわるように感じられるようにもなると思います。

 

―お子さんが小さいころから約15年。趣味から始めてコツコツと革小物作りに取り組み、ここまで事業を拡大されてきた坂本さん。とても参考になるお話をありがとうございました。