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2017.12.7(木) イベントレポート
【イベントレポート】17年7月4日・12月7日『これから働きたいママのためのプレおしごと講座』~個人事業主登録・起業手続き勉強会~

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開業するにあたって避けて通れない手続きやお金のこと。開業の届け出はどのように出せばいいのか、所得税の仕組みや確定申告の仕方はどうなっているのか、など疑問は尽きません。

 

そこで今回は、税理士の渡辺瑛(わたなべえい)さんをお招きして、お話を伺いました。

 

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渡辺さんご自身、税理士法人で働きながら個人事業主としても活躍されている二児のママ。気になる疑問を色々とぶつけてみました。

 

【目次】

<開業手続きについて>

 

<税金の仕組みについて>

 

<扶養の考え方について>

 

―――――――――――――――――――――――――――――――

 

<開業手続きについて>

 

―まずは、どういうタイミングで開業手続きをしなくてはいけないのか、教えてください。

 

 

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渡辺:法律上は、事業を始めて1か月以内に開業の届け出をしなければいけないということになっています。出さなくても特に罰則があるわけではありませんが、自分自身にもメリットがあるのできちんと出したほうがいいでしょう。

 

―しかし、どこから「事業開始」と言っていいのか、判断しづらいですね?

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渡辺:確かに難しいですね。

ポイントは、「反復継続して遂行する意思」があるかどうか。自分に「続けていくぞ」という気持ちがあれば個人事業は開始できるということになります。

 

例えば、インターネットオークションで不要品を売ることは事業にあたらないとされることが多いでしょう。でも、仕入れをして定期的に売り始めたり、自分の作品を継続して販売したりするような場合には、事業として認められますね。

 

―意外と明確な決まりはなく、「気持ちの問題」ということなんですね。

では、具体的な開業届の出し方について伺っていきたいと思います。

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渡辺:茅ヶ崎市にお住まいの場合は、藤沢税務署に開業届を出すことになります。藤沢駅から徒歩5分のところにあり、印鑑さえ持っていけばものの数分で出せるでしょう。書き方も教えてもらえますので、気負う必要はありません。

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―では、開業届を出すメリット、デメリットは何でしょうか?

 

渡辺:まず、開業すれば「青色申告届」を出せるというメリットがあります。詳しくは後でご説明しますが、青色申告には特典がたくさんあるんです。

 

また、開業すれば屋号(お店の名前)で銀行口座を作ることができます。振込の際、個人名よりは屋号のほうがお客様にとって安心感がありますよね。

 

デメリットは、原則確定申告が必要になるということと、失業保険が使えないことですね。特に、失業保険には気をつけたほうがいいでしょう。当たり前のことですが、失業保険は仕事をしていないからこそもらえるもの。仕事量自体は少なくても、開業すると仕事をしていると判断されます。

 

―青色申告届の出し方についても教えてください。

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渡辺:青色申告届は、原則青色申告をしたい年の3月15日までに提出します。新規に開業した場合は、開業日から2か月以内に提出すればOK。

 

開業届と同時に出しておけば間違いないので、そうすることをおすすめします。こちらも聞けばやり方を教えてもらえますし、簡単に出せます。

 

<税金の仕組みについて>

 

―所得税の仕組みについて教えてください。

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渡辺:開業すると、年に1回、どれだけの儲け(事業所得)が出ているのかを計算して報告する必要があります。事業所得は手元に残る金額なので、売り上げ(事業収入)から必要経費を引いて計算します。

 

例えば、10,000円分商品が売れて材料費等の経費が1,000円だったとすると、

 

10,000円(売り上げ)-1,000円(必要経費)=9,000円(事業所得)

 

となるわけです。その事業所得から所得控除を引き、それに税率をかけて所得税額を算出します。

 

ちなみに、よくご質問いただくのですが、借金の返済は経費に含まれません。借金返済(元本部分)はあくまで負債の減少であって、収益を上げるために直接関連する費用ではないからです。

 

―「所得控除」というのは、どれくらい引かれるものでしょうか?

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渡辺:所得控除はご覧の通りたくさんの種類があるので人によって異なりますが、基礎控除の38万円は誰にでも適用されます。

 

事業所得より所得控除のほうが大きければ所得税がかからないわけですから、事業所得が38万円以下なら確定申告は必要ないということです。

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渡辺:逆に、事業所得が38万円を超えているのに確定申告も納税もしていないと、わざとではなくても「脱税」となります。くれぐれもご注意ください。

 

ちなみに、所得控除のうち「社会保険料控除」「生命保険料控除」も関わってくる人が多いですね。ご主人の扶養に入っている場合は、ご主人のほうで「配偶者控除」を使っている場合があります。

 

―確定申告の時期や種類等を教えてください。

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渡辺:まず、確定申告は1月1日~12月31日までの1年間の所得額、所得税額を計算するものと決まっており、前年分を毎年2月中旬~3月15日頃に申告します。

 

事業所得が38万円を超える場合だけではなく、会社員でお給料以外に20万円を超える所得がある場合なども確定申告が必要です。

 

確定申告には白色申告と青色申告があり、特に何も届けを出さなければ自動的に白色申告に。青色申告届を出して青色申告をすれば、最大65万円の控除を受けられます。

 

―白色申告と青色申告の違いを表にしてみました。白色申告には特にメリットがありませんね。青色申告のなかでも、2種類あるようです。

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渡辺:青色申告のなかでも、控除額が最大10万円になる場合と、最大65万円になる場合の2種類があります。

 

最大10万円控除のほうは単式簿記で帳簿をつければよいのですが、最大65万円の控除を受けるためには複式簿記で帳簿をつける必要があります。また、確定申告時に提出する書類の数も増えるんです。

 

面倒そうに思えますが、今は無料で使える会計ソフトも多く、金融機関と連動させれば自動で情報を拾って帳簿に反映してくれるなど、機能が充実しています。青色申告の書類も自動で作成できるため、難しくはありません。できれば、メリットが多い複式簿記にしておいたほうがいいでしょう。

 

―青色申告の場合、3年間赤字の繰り越しもできるんですね?

 

渡辺:はい。事業を始めたばかりのころは初期投資が必要で赤字になることも多いでしょう。例えば、初年度にパソコンを購入したけれど、それを超える利益が出なかった場合、青色申告なら翌年の利益から赤字分を引くことができるんです。それによって、税金がおさえられるというわけですね。

 

「まだ駆け出しだから」と開業をためらう人もいますが、赤字の繰り越しを考えると、駆け出しだからこそ早めに開業したほうがいいとも考えられます。

 

―なるほど。では、単式簿記、複式簿記の違いについて詳しく教えてください。

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渡辺:上の例を見てください。

単式簿記の場合、売り上げとバス代は、ただ「収入」「支出」として記録すればいいわけですね。

 

でも、複式簿記の場合、手持ちの現金や預金残高の動きまでより細かく記帳します。売り上げを現金でもらったから現金が増えた。バス代を現金で払ったから現金が減った、といった具合にお金の動きがわかるわけです。

 

実際にはクレジットカード払い、銀行振り込みなどさまざまなパターンがあってもう少し複雑ですが、会計ソフトさえあれば入力するだけで意外と簡単にできてしまいます。

 

―店頭で購入する会計ソフトもありますし、「freee」や「MFクラウド確定申告」など、インターネット上で使えるものもあります。使いやすいものを選んでいただきたいですね。

では、いくら以上なら所得税がかかってくるのか、ここで申告方法別に整理していきたいと思います。

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渡辺:当然ながら、控除額が多いほど、所得が増えても所得税がかかってこないということになります。白色申告だと事業所得が38万円を超えると所得税がかかりますが、青色申告控除を最大限利用すれば、103万円まで所得税がかかりません。

 

1年間に38万円、ひと月なら約3.2万円の所得を超える場合、青色申告にしたほうが節税になるということですね。

 

―パート・アルバイトと同時並行で開業したい人もいると思いますが、給与所得がある場合はどうなるでしょうか?

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渡辺:パート・アルバイトの場合は、「給与所得控除」があり、最低65万円控除されます。収入が多ければ給与所得控除額も増える仕組みです。給与所得の場合は経費が計算しづらいので、一定額経費があるとみなして控除されるというわけですね。

 

給与所得と事業所得は損益通算されますので、所得の合計から控除額の合計を差し引いたものに税率をかけて所得税が計算されます。

 

<扶養の考え方について>

 

―働くにあたり、扶養から抜けるか抜けないか、ということを意識する人も多いと思います。扶養に関して教えてください。

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渡辺:一般的に「扶養」といった場合には、「税金の扶養」と「社会保険の扶養」の2つがあります。混同しないようにしましょう。

 

まずは、税金の扶養についてみていきます。

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妻の収入が増えると、夫が受けていた38万円の配偶者控除を受けられなくなることがあります。パートで働く人が「扶養から外れないために、給与が103万円以下になるように調整する」という話を聞いたことがあるかもしれませんが、それはこのため。

 

所得税が発生しない範囲であれば配偶者控除の対象になりますので、青色申告の場合は事業所得が103万円以下なら大丈夫ということになります。

 

では、次に社会保険の扶養についてです。年金、医療(健康)保険、雇用保険等を「社会保険」と呼んでいます。

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まず、年金については全員加入することになっており、以下のような構造になっています。自分がどの位置にいるのか、まずは把握しておきましょう。

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配偶者の扶養に入っている場合は、「第3号被保険者」という特別な枠にいることになります。ここに入るには「第2号被保険者の配偶者で年収130万円未満」を満たすことが条件です。条件を外れると第1号被保険者となり、保険料の支払いが発生します。

 

健康保険に関しては、扶養から外れると「国民健康保険」に加入することになり、やはり保険料が発生します。

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夫が自営業の場合等、元々社会保険の扶養に入っていない場合は130万円のラインを気にすることはありません。しかし、現状保険料が免除されており、恩恵を受けている場合は気をつけたほうがいいですね。

 

また、社会保険の扶養は税金の扶養とは異なり、必要書類や細かい要件が配偶者の勤め先によって違います。開業前にきちんと問い合わせておいたほうがいいでしょう。

 

―開業届を出すだけで社会保険の扶養から外れてしまう、という会社も一部あるそうなので、確認が必要ですね。

 

渡辺:そうですね。保険料の支払いによって、「収入が増えたはずなのに生活が苦しくなった」という事態になることもあります。130万円を超えた後は、所得が180万円程度になると生活が楽になったように感じるでしょう。

 

ただ、事業をするうえでは、一時的に少し苦しい時期があっても、チャンスをきちんとつかんだほうがいいという面もあります。社会保険料を払うだけ収入が増えたんだ、と前向きにとらえることも大切です。

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―最後に一言お願いします。

 

税金や手続きのことは、「難しい」「面倒」と思う人も多いかもしれません。でも、ルールを知っていれば得られる特典がたくさんあります。

 

わからないからと放置したまま特典を見逃すのはもったいないですね。税務署の電話相談や無料相談コーナー、国税庁の「タックスアンサー」など、使えるものはとことん使い、わからないことは調べる習慣をつけたほうがいいと思います。

 

私も、起業後はたくさんの失敗をしてきました。でも、悩まず実行していれば、きっと道は開けるはず! ぜひ一歩踏み出していただければと思います。

 

― 税金・手続きのことは難しく考えがちですが、相談できる場もありますし、知っていれば得できる制度も多くあるんですね。

素朴な疑問にもわかりやすくお答えいただき、ありがとうございました。

 

※この講座は、12月7日にも開催されました。渡辺先生と代表橋本の和やかなトークと、熱気あふれる会場の様子です。

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