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2017.12.9(土) イベントレポート
【イベントレポート】17年10月3日『これから働きたいママのための起業サポート』~商品サービス企画/価格設定の考え方~

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9月から始まった『ママのための起業サポート』講座。10月3日の商品サービス企画コース第2回は、ピラティスインストラクターの長野さんをお呼びして、「価格設定の考え方」をテーマにお届けしました。

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物を販売する場合もサービスを提供する場合も、価格設定はとても大事。後から変更しづらい部分でもあるので、最初に悩むポイントですね。

 

長野さんの開業ストーリーとともに、気になる価格設定について詳しく伺いました。

 




 

【目次】

 

<ピラティス教室を開業するまで>

 

<キッズチアスクールの開業>

 

<複数の事業を掛け合わせるメリット>

 

<子育てとの両立について>

 

<なぜ働くのか?>

 




 

<ピラティス教室を開業するまで>

 

―開業前、長野さんは保険会社に勤務していたそうです。インストラクターを志すきっかけは何だったのでしょうか?

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長野:長男出産後も時短勤務をしながらOLとして働いていたのですが、毎朝保育園に預けるときに、子どもがすごく泣いていたんですね。復帰して1年経っても変わらずに泣いていて、全身に蕁麻疹が出てしまうくらい悩んでいました。

 

仕事上では、責任が重くなってきているのに早く帰らなくてはいけない。かといって時間通りには上がれないので子どもとの時間もあまり取れない……という状態で、「仕事と育児、どちらも中途半端」という葛藤がありました。

 

2人目を考えていましたし、子どもが小学校に入ったら家で「おかえり」と迎えてあげたいという気持ちもありました。だんだんと「今の仕事を続けるのは難しいかも」と思うようになったんです。

 

それで、短時間で働ける仕事を探すうちにピラティスインストラクターの仕事を見つけました。

 

―ピラティスに馴染みがあったわけではないんですね?

 

長野:ピラティスをやったこともないのに資格取得養成コースに通い始めたんですよ(笑)。当時ピラティスはまだヨガほど流行っていなかったので、需要があると思ったんですね。

 

会社を辞めてしまうのは不安だったので、平日に働きながら土日にスクールに通いました。通ううちに、だんだんと「ピラティスを仕事にしよう」という決心が固まっていったという感じです。

 

―2012年の7月にピラティス教室を始めていますが、その後すぐに妊娠がわかったそうですね?

 

長野:教室を始めて「がんばるぞ!」というタイミングでつわりが始まって……。妊娠はうれしかったのですが、教室を開始したばかりでしたし、点滴を打ちにいくほどのつわりだったので大変でしたね。ただ、1時間のレッスンを月に6回やるだけだったので、「この1時間だけ」と思えば何とか乗り切ることができました。

 

妊娠8か月ごろまでは自分でインストラクターをやり、それ以降は別のインストラクターにデモンストレーションをしてもらい、私は説明だけをするという形式でやらせていただきました。

 

―自分で教室を開く場合、ある程度自由に日程を組めるのもいいですね。

第2子出産後の2013年の7月から本格的に教室を再開され、下のお子さんの入園までは子連れでレッスンをしていたそうです。

教室を開くにあたって、レッスンプログラムはどのように決めたんですか?

 

長野:育児休業中にピラティス教室に来てくださる方が多いので、1年間で1サイクルになるように設計しました。季節によって体の気になるポイントは違うと思うので、そういう部分も考慮しています。

 

もちろん、プログラム内容はその時々で変えていくのですが、一度土台を作ってしまうとあとが楽ですね。

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―お客様へのアンケートや雑誌のチェックなどをしてニーズを捉えているんですね。

 

長野:はい、初めてのお客様には、必ずアンケートにご記入いただいています。『anan』などの雑誌でテーマになっている内容も、トレンドとしてチェックしておくといいと思います。

 

―お客様との接点が多いお仕事なので、ニーズを把握しやすいですね。価格設定はどのように決めましたか?

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長野:周辺の教室をネットで調べた後、実際に行って体験しました。実際に行くと、教室の雰囲気、サービスの内容と料金とのバランスなどが見えてきます。

結局、私の場合は単発で1,800円という設定にしました。

周辺相場から見ると安くはありませんが、多少料金が上がっても「子連れOK」「マットレンタル料込み」「当日キャンセルOK」「回数券の有効期限なし」という条件にして、お客様に楽に通っていただきたかったんです。

 

基準となる料金を設定したら、複数(3段階以上)の料金プランを用意したほうがいいと思います。私の場合は回数券制で5段階用意しました。ニーズや金銭感覚は人それぞれ異なりますし、そのほうがお客様も選びやすいです。

 

あとは、自分のコンセプトや価格設定に見合ったスタジオを探すことも大事ですね。例えば、自治会館は安価でサービスを提供する場合はいいと思いますが、ラグジュアリーな雰囲気を求めているお客様をターゲットにするには向きませんよね。

 

―いつ子どもが病気になるかわかりませんし、子連れで荷物が多いなかマットまで持ってくるのは大変。そういったママのニーズに合わせたサービスを提供しているんですね。

「お試し価格」や「無料レッスン」などは考えませんでしたか?

 

長野:安価でのサービス提供には慎重になったほうがいいと思います。

他のお客様に正規の料金をいただいているのに一部の人だけ無料というのは申し訳ないですし、お客様の立場から見ると無料でサービスを受けた後に次回から正規料金を払うのは嫌なのでは?とも考えました。

 

私の場合、お友達をご紹介いただいた場合に、紹介者とお友達の2人に初回のみ少し割引をする、ということはしていますよ。

 

もし安くサービスを提供したいなら、特別にお試しプログラムのようなものを考えればいいのではないでしょうか? 来ていただいた方全員一律で安くサービスを提供するほうが公平ですよね。

 

―レッスン以外でのお客様のフォローはどのようにしていますか?

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長野:最初にお客様にメールアドレスを教えてもらい、空き状況のご連絡や前日のリマインド、レッスンのお礼メール等をお送りしています。

 

皆さん育児で忙しいので、わざわざWebサイトやSNSを見ていただくのは難しいですよね。メール配信をすることで、「うっかりレッスンを忘れていた」という事態も防げます。

 

facebookやメルマガで情報発信をする際は、レッスンに直接関係することだけではなくて、私自身の子育てに関することや、お役立ち情報も配信するようにしています。

 

あとは、アンケートで講師の印象や、ご自身の体の気になる部分などを書いていただき、その後のレッスンに活かしたり、質問があればお答えしたりするようにしていますね。

 

<キッズチアスクールの開業>

 

―2014年の4月には、キッズチア教室も開業されています。どうして始めようと思ったんですか?

 

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長野:私自身が大学と社会人でチアリーディングをやっていました。結婚後は一旦やめていたのですが、キッズチアのインストラクターをしていたこともあります。すごくチアが好きなので、また子どもに教える仕事をしたいという気持ちがどこかにずっとありました。

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長野:既存スクールで雇っていただくことも考えたのですが、下の子が1歳にもならない時期だったので、就業条件がなかなか合いません。子育てと両立するためには、自分で立ち上げたほうがいいと思いました。土曜日の午前中なら誰かしら家族にみてもらえるので、できるのはないかと思ったんです。

 

―子どもの習い事は平日の夕方が多いですから、自分自身が子育てをしていると、子どもと一緒に過ごしたい時間と重なってしまいますから、自分が日程を決められるのはいいですね。レッスンスタジオはお住まいの逗子ではなく葉山なんですね?

 

長野:逗子には当時すでに2つのキッズチア教室があったので、隣駅の葉山のほうがニーズがあると思いました。

 

―地域でほかに競合があるなか一番を目指すのはすごく難しいことです。また、「ナンバーワン」より「オンリーワン」の状態のほうが優位性を持ちます。そういった地域を探してそこで事業を展開するのはいい方法ですね。

集客はどうされたんですか?

 

長野:生徒10人程度を想定して、運営が成り立つような料金を設定しました。ピラティスと異なり、周辺相場よりは安めです。基本的にはピラティスと同様の集客方法ですが、子ども向けの教室なので無料体験レッスンを行っています。特に期間は設けずに、「10人集まったら教室を開始する」という前提で集客を開始しました。

 

―子どもの場合は、実際にやってみないと気に入るかどうかわかりませんから、大人向けの教室とは違いますね。

 

長野:スクールの特色を出すために、理念を明確にして差別化を図るのも大事だと思います。また、ある程度方向性を定めておけば共感していただける生徒さんに来ていただけてスムーズな運営につながりますし、プログラムにも活かしやすいです。

 

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長野:最初はきっちりとした理念でなくても、実際に生徒さんや保護者の方たちと触れ合うなかで少しずつ軌道修正していくことで、より明確になっていくと思います。

 

私の場合は、元々子どもたちが音楽、運動など何をするにしても体幹が大事になると考えていて、「コアキッズ体操」の資格も持っています。チアだけではなく、体の形成を重要視してきました。

 

その後、人数拡大に伴い3クラス制の導入をして、ニーズも多様化してきました。最初は競技大会に出ることは考えていませんでしたが、今は生徒さんたちの要望も聞きながら高学年の子たちは競技大会に出ています。

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―年齢に合わせての目標設定もされているんですね。料金設定はどのようにされましたか?

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長野:最初は小規模のスクールを考えていたので、安めの設定にしました。でも、人数が増えてスタジオを移る必要が出てきましたし、クラスを分けるようにもなりました。それに伴って料金を少し変更させていただいたんです。もちろん、途中からの変更ですから、保護者の方にもよく相談しました。

 

―物を売る場合もそうですが、価格を上げるのは納得いただく理由付けがないと難しいものです。でも、信頼関係を築いてきたからこそできたことですね。

今後はキッズチア教室をどうしていきたいですか?

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長野:お蔭様で生徒さんが増えてとてもうれしいのですが、事務作業が増え新たな課題も出てきました。いずれは人を雇えるようなスクールにしていければなと思っています。

 

<複数の事業を掛け合わせるメリット>

 

―長野さんのように2つの事業を組み合わせることで生まれるメリットもあります。

ピラティスの場合は日程調整がしやすいですが、キャンセル料なしにしているため、収入は不安定。一方でキッズチア教室は曜日・時間が固定されますが、月謝制なので収入は安定しますね。

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長野:ピラティス教室に来てくださっていたママさんが、キッズチア教室にお子さんを通わせてくださることもありますし、その逆もあります。そういった面もありがたいですね。

 

<子育てとの両立について>

 

―では、具体的に長野さんがどのように働いているのかを詳しく伺っていきましょう。

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長野:ピラティスの予定は、幼稚園の予定に合わせて組んでいます。夏休み中は子どもがいるので、子どもと一緒にできる内容のプログラムにさせていただくこともありますね。

 

また、水曜日は委託を受けていて、葉山の美容院併設のスタジオで毎週1レッスンやらせていただいています。

 

―1日のスケジュールはいかがでしょうか?

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長野:朝は8時くらいに家族が全員出払うので、出かけるまでの間に事務作業を終わらせ、10時にはピラティスのスタジオに行っています。それ以降は子どもと一緒の時間を過ごし、子どもが寝た後にまた仕事をしていますね。もちろん、子どもと一緒に寝てしまうこともあります。

 

次男が幼稚園に入園するまではピラティスのレッスンに一緒に連れていき、お昼寝中に事務作業をするようなライフスタイルでした。

 

<なぜ働くのか?>

 

―最後になりますが、なぜ働いているのか、どんな思いで働いているのかを教えてください。

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長野:今はママの起業が増えていますが、元々私は自分が起業するなんて思ってもみなかったですし、ピラティス教室を始めた当初も「起業」とは思っていませんでした。強い決意があったわけではなかったんですね。

 

でも、専業主婦になるつもりもなく、何かしらやりがいを持って働きたいという思いがありました。子育てを始めると何かと制約が出てきますが、母親になったからこそわかることや、できることもありますよね。そういったことを活かして働いていきたいと思います。

 

私は子どもが小さい時期を一緒に過ごしたいという思いが強く、こういう働き方をしてきました。正直、家で事務仕事をしているとプライベートと仕事の線引きが難しいこともあります。でも、自分の想いはしっかり持ちながらやっていきたいですね。

 

また、やるからには収入を得ていかないと、気持ちの面で不安になりますし、続けていくのが難しくなります。収入があれば、新たなチャレンジもできます。

 

 

―ニーズをとらえて商品設計や価格設定に活かしていくところや、子どもとの時間をあきらめずに働き方を模索してきた経験談が非常に参考になりましたね。ありがとうございました。

 

長野さんには、11月28日の「販売・集客戦略コース(SNS・ブログの活用方法)」でも再度ご登壇いただきます。そちらもぜひご期待ください。